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2017年3月21日 (火)

ファルコン 9 v1.2 フル・スラスト

  ペーパークラフトロケットシリーズ,今回は
1/100スケールペーパークラフトによる ファルコン 9 v1.2 フル・スラスト(OrbComm OG2 M2)    アメリカの民間企業「スペースX社」が開発した商業用打ち上げロケット「ファルコン 9」,「ファルコン 9 v1.1」の改良・発展型,「ファルコン 9 v1.2 フル・スラスト」.型紙は“AXM Paper Space Scale Models”から.
  スペースX社が開発・運用している「ファルコン 9」ロケットシリーズは,始めから打ち上げ後に回収,再利用することを目指していた.2008年9月に初めて打ち上げに成功した「ファルコン 1」,エンジンをクラスタ化,機体を大型化し,2010年6月,民間企業が独自開発したロケットとして世界で初めて人工衛星の打ち上げに成功した「ファルコン  9 (v1.0)」と開発を進めながら,「グラスホッパー」という試験機を用いて,ロケットを垂直に着陸させる実験を繰り返していた.「ファルコン  9 (v1.0)」の改良・発展型である「ファルコン 9 v1.1」では,6号機(v1.1としては初号機)で逆噴射しつつ海上への着水実験を実施,9号機(v1.1としては4号機)で初めて着陸脚を装着して打ち上げを行っている.その後も海上への着水実験は続けられ,2015年1月に打ち上げられた14号機からは,第一段上部に姿勢を制御するための「グリッド・フィン」が取り付けられた.この14号機で初めて,太平洋上に浮かべた無人船「ドローン・シップ」への降下が試みられたが,この時はグリッド・フィンが予定通りに動作せず,傾いた状態で落下,爆発してしまった.続く15号機は海上の波が高く,回収は断念したものの,予定していたポイントに垂直に軟着水させることに成功している.さらに,17号機で再び「ドローン・シップ」への降下が試みられたが,この時も失敗に終わっている.
  ここまで,第一段の垂直着陸と回収には失敗しているものの,打ち上げそのものは全て成功,第一段の着陸成功も時間の問題と思われた.しかし,2015年6月に打ち上げられた19号機は打ち上げから139秒後に爆発,搭載していたドラゴン宇宙船も,ISSへの全ての補給物資もろとも失われた.この頃,ファルコン 9 は一月に1,2回打ち上げられていたが,この事故により,打ち上げはしばらく凍結された.
  続く20号機の打ち上げは,19号機の事故から半年後の2015年12月のことだった.事故後の「Return to Flight」であることから,打ち上げを成功させることに重点を置き,リスクは極力避けるのが普通だが,スペースXはここでも挑戦的であった.この打ち上げに改良型の“v1.2”を投入,ケープカナベラル空軍基地にある着陸地点「LZ-1」への第一段の着陸に挑んだのである.この場合,衛星打ち上げのため,切り離された時点でかなり速度のついた第一段を逆噴射,射点近くまで戻す必要があるので,海上の「ドローン・シップ」に降下させるより何度が高くなるのである.なお,“v1.1”までは,安定性のため,エンジンの出力を低く抑えていたのだが,この20号機からは本来の出力がはっきできるようになっていることから,このタイプは「フル・スラスト」と呼ばれるのである.
  20号機がケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設から飛び立ったのはアメリカ東部標準時2015年12月21日20時29分(日本時間翌日10時29分)のことであった.飛行は順調,打ち上げから2分24秒後に第一段を切り離した.逆噴射も正常に行われ,数分後,ケープカナベラル空軍基地の“LZ-1”上空に姿を現した.そして,まるでそこに軌道が敷かれているかのように着陸地点に近づき,打ち上げから9分40秒後,円形に広がる白煙の中に静止,「歴史的な着陸」に成功した.それはまるで,打ち上げの映像を逆再生しているかのような光景であった.海外メディアではこれを,アポロ11号の月面着陸の時の “The Eagle has landed”. になぞらえ, “The Falcon has landed”. と表現していた.そして,はるか上空では,打ち上げから14分後までに,搭載していた11機の通信衛星 “OrbComm-OG2”の放出にも成功していた.
  この時回収された第一段は,カリフォルニア州ホーソーンのスペースX本社にモニュメントとして立てられている.
  なお,この「歴史的な着陸」が行われた“LZ-1”は,1978年まで「アトラス」ロケットの打ち上げに使われていた第13複合発射施設があった場所である.

  ・・・というわけで,「歴史的な着陸」を成功させた「ファルコン9 20号機」.

  私もこの「歴史的な着陸」をライブ中継で見ていたのだが,着陸した瞬間,「うぉー,立った!」と叫んでしまった.別に私が何をしたわけでもないのだが,無意識にガッツポーズまでしてしまった.とにかくその時の映像のインパクトが凄かった.上にも書いたとおり,まるで打ち上げ映像を逆再生しているかのようだった.

  で,興奮して,すぐに“AXM Paper Space Scale Models”の Alfonzo氏に
「コレ作りたい!」
ってメッセージを送ったところ,ほどなくして彼から返事.
「今作業中だからもうちょっと待って」

え゛ぇ!

って,今着陸したばかりでんがな.仕事早っ!

  そして数日のうちに型紙がダウンロード可能に.
  早速作り始めたのだが,また Alfonzo氏からメッセージ.
「第一段の色味を少し変えたので,改訂版の方を使って」

え゛ぇ!

今度はちょっと遅っ!

仕方なく最初から作り直し.

・・・とまぁ,この話はちょっと置いといて.

まずは「OrbComm-OG2 M2」が格納されているフェアリング.
ファルコン 9 20号機 フェアリング この時の打ち上げは商用打ち上げなので,フェアリングはハンマーヘッド型.

v1.1 と v1.2↓.
ファルコン 9 v1.1 と v1.2

第一段下部の比較↓.
ファルコン 9 v1.1 と v1.2 第一段下部ただし,第一段下部が右のパターンに変更になったのは2014年9月打ち上げの12号機(v1.1)から.

  v1.1 と v1.2 の段間部〜第二段↓.
ファルコン 9 v1.1 と v1.2 段間部〜第二段 v1.2 ではここの部分が少し延長されているのがわかる.

  そして!件の着陸した第一段.
ファルコン 9 v1.2 着陸した第一段 模型を作ってみて驚いた.

  良く考えればわかることではあるのだけれど.
  ファルコン 9 v1.2 の全長は70m.着陸したこの部分の高さが60m近いことはちょっと考えればわかることではある.でも,映像を見ているだけでは,大きさの実感がない.こうして模型を作ってみると,その大きさに驚いた.60mもの高さがあるものが空から降ってきて,エンジンを逆噴射しつつ「ストン」と立ってしまうというわけだ.いやはや,凄いことだぞこれは!

  それとは関係ないし,とってもくだらないのだが,打ち上げのライブを見ている間の脳内でかわされた会話.
「第一段,聞こえて?打ち上げから4分で降下開始です.あなたは高度に気をつけて」
「衛星打ち上げの最中に気をつけられると思うんですか!」
「大丈夫,あなたならできるわ」
「お,おだてないでください・・・」
元ネタを知らない人にはなんのことかわからないだろうけれど.

  気を取り直して.

  展開された着陸脚↓.
ファルコン 9 v1.2 展開された着陸脚 普通に作る場合でも,この支柱の付け根は工夫のしどころ.単純にくっつけただけでは強度が低く,簡単にポロッととれてしまう.しかも,私の場合,展示のために運搬をする必要がある(この歴史的な機体を展示しないテはないでしょう!)のでさらに大変.散々考えたが,「運搬の際に壊れないように」作る方法は思いつかず,

「ならいっそ着脱式にしてやれ」というわけで,↓.
着脱式に仕上げた着陸脚 この脚(とグリッドフィンが取り付けられた段間部も),全部取り外しできるようになっている.まぁその工作も散々苦労したわけだけれど.

  展開したグリッドフィンの部分がこちら↓
展開した状態のグリッド・フィン 2017年1月打ち上げの29号機では,ライブ中継でグリッドフィンのすぐ上に取り付けられたカメラからの生映像が流された.このフィンが時折「クイックイッ」と動いているのが良くわかった.そして,ドローンシップ中央に降り立つ様は圧巻の映像であった.
  それにしても,コレで姿勢制御することを思いついた人は天才だと思う.

  最後に,打ち上げ時の姿と着陸した第一段↓.
ファルコン9 20号機 打ち上げ時の姿と着陸した第一段

この時回収した機体ではないけれど,もうすぐ回収した第一段を再使用する打ち上げが行われる.それが実現して,打ち上げ費用が劇的に安くなるのか,それともスペースシャトルの二の舞(再使用に際して補修・整備に費用がかかりすぎ,使い捨てロケットよりも高価になってしまった)になるのか.さらに,近いうちに「ファルコン・ヘビー」の打ち上げも行われるようだし.ますますスペースXから目が離せない.

完成写真の大きな画像はこちらからどうぞ.→Falcon 9 v1.2 Full Thrust  (OrbComm-OG2 M2)

ロケットのペーパークラフトは是非↓こちらもご覧ください
PASA : Papercraft Aeronautics and Space Administration

 

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