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2014年7月31日 (木)

イプシロン

  ペーパークラフトロケットシリーズ,今回は
1/100スケールペーパークラフトによる イプシロン  2006年に廃止されたΜ-Ⅴロケットの後継として開発された,日本の小型固体燃料ロケット,イプシロン.型紙は非公開のもの(細部を省き,難易度を落とした簡易版は月探査情報ステーションからダウンロード可能.イベント情報→バックナンバー→2013年→「イプシロンロケット試験機1号機打ち上げ」の下の“こちら”から).
  小惑星探査機「はやぶさ」や太陽観測衛星「ひので」の打ち上げで活躍したΜ-Ⅴロケットは,固体燃料ロケットとして世界最高水準の基本性能を誇り,打ち上げる衛星や探査機に最適化することも可能であるという利点を持つ反面,製造・打ち上げコストが高額であり,それ故打ち上げ回数も限られてしまうという欠点も持ちあわせていた.
  結局,2006年にΜ-Ⅴロケットの廃止が決定されたが,日本の固体燃料ロケットの技術維持や,惑星探査など特殊な軌道への打ち上げなどのために独自の小型ロケットが必要と考えられたことなどから,後継として,“次期固体燃料ロケット”の開発が始められることとなった.
  この“次期固体燃料ロケット”は,開発費用を抑えるために,H-ⅡAの打ち上げに使われるSRB-Aを第一段とし,Μ-Ⅴロケットの第三段とキックステージを上段とするものであった.過去には,同様にH-ⅡSRBΜ-3SⅡの上段を組み合わせた“J-Ⅰ”ロケットの計画が実質的に失敗に終わっていた(1度だけ打ち上げられたが,結局は高額なロケットになり,計画が打ち切られた)ため,この“次期固体燃料ロケット”についても計画を危ぶむ声があったが,「既存の技術を組み合わせて開発費用を抑える」だけでなく,「既存の技術と最新技術の融合」を目指したものとして開発が進められた.
  こうして誕生した“次期固体燃料ロケット”は「イプシロン」と名付けられた.機体構成こそ,前述の通り既存の技術を組み合わせたものだが,主に打ち上げシステムに関しては大幅な確信がなされている.ロケットに搭載した高度な電子機器と地上設備をネットワークで接続,ロケット自身に自律点検機能を持たせ,打ち上げに際した手間と人員を大幅に削減することに成功している.これにより,原理的には,インターネットに接続したノートパソコンが一台あれば打ち上げ管制を行うことができ,これを「モバイル管制」と呼んでいる(実際には,セキュリティ等の問題からこうしたことが行われることはない).また,ロケットの製造に要する機関は1年間(Μ-Ⅴは3年間),射場作業日数が7日(同42日)など,打ち上げ準備にかかる期間も大きく短縮されている.
  初の打ち上げは2013年8月22日に予定されていたが,信号中継装置の誤配線により延期された.そして,8月27日には,カウントダウンが“0”まで行ったものの,ロケットモータには点火されず,再度延期になった.ただし,その“カウントダウン”は一般的なものであり,実際には発射19秒前にロケットの自律点検装置が姿勢の異常を検知,カウントダウンはその時点で中止されていた.後の調査により,これはロケット搭載の機器と地上設備の間で,時計にわずかなズレがあったことが原因と判明した.しかし,打ち上げ中止はロケットモータの点火前であり,ロケットや搭載した電子機器に異常・破損はなく,システム見直しの上,再度打ち上げが行われることとなった.
  同年9月14日,今度は打ち上げ警戒海域に船舶が侵入する可能性により15分ほど遅れたものの,打ち上げは無事に行われ,ロケットは正常に飛行,搭載していた惑星分光観測衛星「ひさき(SPRINT-A)」を予定の軌道に投入した.

  型紙は「モフ子」さん作.最初に型紙を頂いたのは打ち上げの1年ほど前のこと.その頃はまだ機体側面のマーキングなどは発表されていなかったので,最初に製作した時はこんな感じだった↓.
1/100スケールペーパークラフトによる イプシロン(機体デザイン公開前)いやしかし,この型紙,機体側面のフィン(中央付近)や,下部の姿勢制御機構,下面の噴射可変機構カバーなど,容赦なく難しかった.ちなみに,フェアリングの先端は,A2を作った時と同じ手法で,大きさの違う円に切り抜いた型紙を多数貼りあわせて「塊」を作った後,ヤスリで削って整形,白い絵の具を塗って仕上げてある.

  で.

  昨年,倉敷科学センターで「宇宙機模型大集合」という企画展があり,私のロケットたちを多数展示した.その会期の最終日に行う工作教室で,この「イプシロン」を作ってみてはという話になったのだが,
「この型紙は難しすぎ」
ということで,細部を省き,簡略化したのがこの記事冒頭に紹介した月探査情報ステーションで公開されている型紙だというわけだ.

  実機の「イプシロン」,この「宇宙機模型大集合」の会期中に打ち上げられるはずだったのだが,延期で企画展終了後の打ち上げとなって残念.
  8月27日の打ち上げでは,

  「5,4,3,2,1,ゼロ!・・・み〜んみ〜んみ〜ん・・・」

  虚しく聞こえるセミの声が印象的だった.

  まぁなんにせよ,その後無事に打ち上がって良かった良かった.

完成写真の大きな画像はこちらからどうぞ.→Epsilon

ロケットのペーパークラフトは是非↓こちらもご覧ください
PASA : Papercraft Aeronautics and Space Administration

島根県松江市にある松江イングリッシュガーデンにて「宇宙展 in 松江 2014」開催中!ここでも私のペーパークラフトロケット約70機を展示中.よろしければ是非どうぞ.

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