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2012年6月 1日 (金)

満塁ホームラン

  アメリカの「スペースX」が開発,先月25日に民間の開発した宇宙船として史上初めて国際宇宙ステーションにドッキングした「ドラゴン宇宙船」が,日本時間昨日午後国際宇宙ステーションから離れ,同じく日本時間今日午前0時42分,カリフォルニア沖の太平洋に着水,回収されて,無事地球帰還を果たした.
  このことの意義は測りしれないと思う.何よりまず,「国」や「機関」ではなく,「企業」が開発したロケットと宇宙船が国際宇宙ステーションとの往復を達成したこと.これにより,宇宙開発が「国の都合」に大きく縛られることなく進められる可能性を切り開いたということでもあると思う.もちろん,その「可能性」の中には,「サービス」としての宇宙飛行も含まれる.
  そして,スペースシャトル引退後のアメリカが,他国に頼ることなく,国際宇宙ステーションへの物資輸送の手段を手に入れたこと.
  さらに,国際宇宙ステーションから物資を「持ち帰る」手段を手に入れたこと.これができるのは,現時点では「ドラゴン」が唯一である.

  この成功を受けて,「スペースX社」の経営最高責任者であるイーロン・マスク氏は,「野球に例えれば満塁ホームランだ」と語ったという.
  いや確かにそうだ.打ち上げ時,一度は打ち上げわずか0.5秒前に中止となるという事態もあったものの,数日後には無事に打ち上げ成功,その他,レーザーによる距離の測定などに小さなトラブルもあったものの,国際宇宙ステーションへのドッキングを果たし,さらに物資を搭載して大気圏に再突入,パラシュートを開いて着水して無事回収と,予定していた全てのことが全て達成されたのだから.
  加えて,アメリカにとっては,国際宇宙ステーションへの物資輸送を他国に頼らざるを得ない状況から,一気に物資を「持ち帰れる」という状況になりつつあるのだから,これは「逆転満塁ホームラン」とも言えるかもしれない.

  「経営最高責任者」という立場の人が,この成功を「心情として」どの程度嬉しいと思っているのか,本当のところは良くわからないが,ロケットと宇宙船の開発,運用に携わった人たちにとっては本当に嬉しいことだっただろうなぁと思う.打ち上げ成功から回収成功まで,夢の中の出来事のようだったのではないか(もちろん,吐き気をもよおすほどの緊張の連続でもあったのだとは思うが).長年追い求めて来たことがほぼ完璧に達成された,そのことの喜びもまた,測りしれないと思う.

  さてこれから先,民間の宇宙開発はどんな夢を見せてくれるのだろうか.

  そんなことを考えていたら,ネット上には「宇宙ホテルいかが・・・3ヶ月の滞在で1人23億円」というニュースが出ていた.それによると,こちらは「ビゲロー・エアロスペース」という会社が計画しているもので,軌道上に「宇宙実験室」を打ち上げ,様々な実験に用いる他,宇宙旅行社向けのホテルとしての利用や,放送局としても利用することができるのだとか.そして,ホテルとして滞在するだけならば,訓練費用や滞在中の食費も込みで,3ヶ月でおよそ23億円だとか.とても一般人が行けるお値段じゃないが,いつの日か値段も下がり,「いやぁ,今週末はちょっと宇宙に」なんていう時代もきっとやってくるに違いない.それがいつになるのか想像もつかないけれど.

  なお,「ドラゴンの帰還の瞬間は(中継を)見逃さないぞ」と意気込んでいた私,結局眠ってしまって見逃したという事実はここだけの秘密だ.

 

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