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2012年5月 3日 (木)

イントレピッド

  1962年5月24日,ケープカナヴェラル空軍基地から,スコット・カーペンター宇宙飛行士をのせたマーキュリー・アトラス7号「オーロラ7」が打ち上げられた.「オーロラ7」は地球を3周した後,大気圏に突入した.しかし,突入の直前,「オーロラ7」の窓からは,宇宙船から吐き出された水分が凍ってできた小さな氷の粒が光り輝いて見える「宇宙ほたる」が見え,カーペンターがあまりの美しさに見とれてしまい,突入のための軌道変更のタイミングが遅れてしまった.また,「オーロラ7」の自動姿勢安定装置(Automatic Alignment System)に不具合も発生し,「オーロラ7」は,当初予定されていた着水地点から400kmも離れた海上に着水してしまった.この捜索には3時間もの時間が費やされたが,空母「イントレピッド」から発進したヘリコプターにより,救助,回収された.

  1965年3月23日,ケープカナヴェラル空軍基地から,ガス・グリソム,ジョン・ヤング両宇宙飛行士をのせたジェミニ3号が打ち上げられた.ジェミニ3号も地球を3周した後に大気圏に再突入,フロリダ半島沖の西大西洋に着水したが,予定された着水地点から110kmも離れたところに着水してしまった.着水時に姿勢が不安定になっていたため,回収作業は難航したが,ガス・グリソム,ジョン・ヤング両宇宙飛行士を回収したのも,空母「イントレピッド」から発進したヘリコプターであった.

  一度も宇宙へ行くことはなかったものの,スペースシャトルの“初号機”である「エンタープライズ」.1977年8月12日に初飛行して以来,5回の滑空試験を行い,ケネディ宇宙センターやヴァンデンバーグ空軍基地で様々な試験に用いられた後,国立航空宇宙博物館に展示されていた.この博物館には,退役した「ディスカバリー」が展示されることになり,「ディスカバリー」と交代した「エンタープライズ」は,シャトル輸送機(Shuttle Carrier Aircraft : SCA)の背中に乗せられてニューヨークへと空輸された.この後は,「イントレピッド海上航空宇宙博物館」に展示される予定である.
  この「イントレピッド海上航空宇宙博物館」,退役した空母「イントレピッド」そのものである.第二次大戦中の1943年に航空母艦として就役,大戦後もベトナム戦争などにも参加している.もちろん,戦争の道具としての「兵器」として運用された経歴もあるわけだが,上述のように,アメリカの有人宇宙飛行の道を切り開いた「マーキュリー計画」,「ジェミニ計画」には宇宙船の回収母艦として参加,有人宇宙飛行の歴史を見守ってきた艦でもある.「スペースシャトル計画」の道を切り開いた「エンタープライズ」の展示場所として,なかなかふさわしいと言えるのかもしれない.

 

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