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2012年1月19日 (木)

想定外

  昨日(18日)は市内何某小学校で観望会.
  主催者側からの情報では,参加者は40名程度ということだった.
  なので,観望対象は
「まず金星で,次に木星,時間があったらオリオン大星雲かなぁ・・・」
などと考えて,最近手に入れた新兵器「タブレットPC」に動画やら写真を入れて準備していた.

  観望会開始は18:30.最初に開会行事があって,この時,集まっていたのは確かに40人程度だった.
  会場となった小学校の教頭先生のお話があり,その中で古川宇宙飛行士のことについて触れられていた.

  で,私の話になったところで,
「今,教頭先生から古川宇宙飛行士お話がありましたが,皆さんの中で,『宇宙に行ってみたい!』っていう人はどのくらいいますか?」
手を挙げてくれたのは2割くらいだったか.
「君たちにはまだ早い!」
某携帯電話会社のCMのマネをしてみる(しまった!そのあとに「なんちゃって〜」って言うの忘れた^^;).笑ったのは数人だったけど.
  あらためて,
「というのは冗談で,今年からいよいよ普通の人が行ける宇宙旅行が始まるんです.まだまだあまりに高くて,普通には行けないけど,きっと近いうちに本当に普通の人でも行ける値段になると思っています.実は君たちだけじゃなくて,僕にとっても『全然早くない』かもしれないんですよ」

  そして,観望会がスタート.予定通り望遠鏡を金星に向ける.
「金星はどんな形に見えるか,よーくそこを見てください.きっと驚きますよ」
昨日の金星は,半分より少し満ちたような感じだったのだ.
  で,望遠鏡の前には順番待ちの列ができ,その列の人が全員見終わったら次に木星・・・え゛!?

  先ほど,確かに40人程度だったはずなのに,望遠鏡の前には長蛇の列.どう見ても100人は下らないぞ.全くの想定外.

  そんなわけで,なかなか対象を木星に移すことができず,しかも,列に並んだ人が全員見終わる前に,金星が林の向こう側に沈んで行ってしまった.
  見込みが甘かったと言えば確かにそうなのだが,こればっかりは仕方ない.

  でも.

  せっかく列に並んだのに,待たされた挙句に金星を見ることができない人ができてしまった.先に金星を見た人は,木星を見ようと再び列に並んでいたのだが,こうなるとまだ金星を見ていない人に「列の後ろに並びなおしてください」とは言えない.まだ金星を見ていない人に,列はそのままで木星を見てもらうことにしたのだが,これで怒り出す人が出てしまった.

  こうならないようにとりあえず注意はするけれど,難しい問題ではある.

  天文を趣味にしてれば,こんなことは「日常茶飯事」である.「見たい!」と思うものをずーっと待っていても,「いざ!」という時になって見られないなんて当たり前のことではある.まぁ観望会の時にこれが「当たり前」になっていい訳はないのだが,かと言って,絶対にあってはならないとも思わない.
  とにかく,星を見るということには,「待たされる」ことがつきものだ.星雲・星団の写真を撮ろうとすれば,一枚で最低でも数十分,ばっちり撮ろうとすればまるまる一晩かかる.惑星の写真だって,これもばっちり撮ろうとすれば,大気の揺らぎが小さくなる瞬間を待ってじぃ〜っと見続けることになる.昨年末に見られたような皆既月食だって,皆既の時だけ見るより,満月がだんだんと欠けていって皆既になり,そしてまた元に戻る,その過程全部を見た方がずっと感動的だが,そのためには寒い屋外で数時間待っていなければならない.流星群に至っては(2001年のしし座流星群の時なんていうのは例外中の例外だ),数時間粘ってほんの1秒たらずしか見えない流星を数個から数十個見られれば御の字である.
  以前は,「待っている人が退屈しないように」とずいぶんと考えたものだが,最近では,あんまりそれをやりすぎないようにしている.いっそのごと,退屈して待っていてもらおうという気さえする.観望会に来て,せっかく星に興味を持ち,自分でも星を見るようになったとしても,その「待つ」ことが嫌な人はどうせ長続きしない.ずーっと待ち続けたのに見られなかったとか,待ち続けて「ようやく見られた!」という感動の経験があり,それを「楽しい」と思える人じゃないと,結局は「一時の興味」に終わってしまうと思うのだ.「星」や「天文」と「お気楽」「お手軽」は決して相容れないものなのではないか,とも思う.

  星を見るということは,はるかかなたからやって来る光を見る(一番近い「月」だっておよそ40万km,光の速さだって1秒とちょっとかかる)ということ.
  星を見に行く時くらい,時間のことなんか忘れませんか?

今年の観望会 予定…2 実施…2 中止…0 延期…0 屋内(外)で天文教室…0 勝率…1.000(2勝0敗)
開幕2連勝!

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