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2011年11月 9日 (水)

小惑星の接近

  小惑星2005 YU55 が今朝(日本時間9日午前8時28分頃),地球から32万5000kmの距離を通過して行った.

  このことは数日前に発表されており,「大型の小惑星が地球に接近」などと報道されていた.
  しかし,宇宙の「スケール感」というのは一般的には馴染みがなく,こういう報道はどうも誤解を招くので好きではない.

  まず,「大型の小惑星」と言うが(このことは先日,このブログでも少し触れたのだが),2005 YU55の 直径は約400m.「地球に落ちてくる」となれば,たしかに大きいし,もしそんなことになったら大変だ.どこぞで見た(どこだったかは忘れた)が,もしこの小惑星が地表まで落ちた場合,マグニチュード7に相当する地震が起き,海上に落ちたならば,かなり巨大な津波が発生しただろうということだった.しかし,今回は「接近」」するだけ.となれば,直径400mの小惑星が「大型」なものか.「はやぶさ」で話題になった小惑星「イトカワ」の大きさが535 × 294 × 209m.それと比較しても別段大きいというわけではないだろう.ということは,2005 YU55の重力は「イトカワ」とさして変わらず,地球の10万分の1程度だろう.
  また,「接近」という表現も微妙だ.天文学的に言えば,「月より近い」なんていうのは,「ニアミス中のニアミス」ではある.しかし,月までの距離は平均でも約38万km,それより近いからと言っても,35万5000kmなんていう距離は,一般的な感覚からすれば「もの凄く遠い」はずだ.
  天文学的な意味での「スケール感」からすれば,今回の小惑星の接近は,「小型の小惑星が地球にかなり接近」なのだが,一般的な「スケール感」から言えば「大型の岩石の塊が地球からずいぶんと遠いところを通って行った」という感じだろう.実際,近いと言っても,地上からその姿を肉眼で見られるほどではなかったし.

  ただ,私としては是非写真に撮ってみたかった.地球に接近した小惑星としては,過去に一度だけ撮影したことがある.
地球近傍天体 2006 VV2 2007年3月31日 これは,2007年3月31日に地球に接近した小惑星 2006 VV2 で,その31日02:00頃,わずか5分間の軌跡である.この時,2006 VV2 と地球の距離は340万km,明るさは10等程度だった.今回の2005 YU55 はわずか32万km,直径400m程度の小惑星がどの程度の明るさで見えたのか,果たして上のように簡単に写真に撮れたかはわからないが,もし撮れたとすれば,星々の間を猛スピードで駆け抜けて行く軌跡が面白かっただろう.

  もっとも,接近するのが日本の夜の時間帯で,せっかく撮影に挑戦できる状況なのに「べったり曇り」なんてのはとっても悔しい.接近するのが夜が明けてからとなれば,あっさり諦めもつこうというもんだ・・・

  最近の天気の悪さを思うと,接近したのが夜でなくて良かったのかもしれない.

 

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コメント

今晩は。

いつもきれいな星雲、星団の写真をブログに使用させていただきありがとうございます。私の「理科女」の気分が少しだけ満足しています。

さて質問ですが、ブログ村のポチは毎日おしていますが、このランクが上がると何かすごいことがあるんですか?
私もまねをして、イヌブログに参加しまいsたが?

投稿: エリス | 2011年11月 9日 (水) 18時44分

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