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2011年11月29日 (火)

さようなら「あかり」ちゃん

  今年6月に電力異常が発生,科学観測を終了していた日本の赤外線天文衛星「あかり」.24日に行われた最終運用で停波信号が送信され,軌道上で静かに眠りについた.
  「あかり」は2006年に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星で,惑星が作り出されつつある現場や,死にゆく運命にある巨星の姿,遠方の赤外線銀河の観測などに活躍,130万個にもおよぶ「赤外線天体カタログ」も作成された.
  「あかり」の設計寿命は3年だったが,それを大幅に超える5年9ヶ月に渡って活躍したことになる.

  衛星に送信されるコマンドとは,つまりいくつもの命令が並べられた一種のプログラムである.プログラムというのは,そのままだと人間には理解しにくいので,そのプログラムを作った人が,人間にわかりやすいようにコメントを入れるため,プログラムとしては実行されない「コメント行」というものがある.
  「あかり」の最終運用で送信されたコマンドには,その「コメント行」を利用して「『あかり』ちゃんへの最後の手紙」が一緒に送信されていたのだ(その内容は,運用に携わった津村耕司さんのツイッターで見ることができる).
  小惑星探査機「はやぶさ」では,探査機が擬人化されて話題となったが,「あかり」の運用に携わった方々も,衛星をただの機械と思わず,やはり愛情を持って接していたらしい.

  どこで読んだのか,記憶が定かではない(たしか,電波天文衛星「はるか」に関しての記事だったと思う)が,衛星に「停波信号」を送るというのは,やっぱり辛いものなのだそうな.衛星から電波がやってきているというのは,たとえその衛星が本来の機能を果たせなくなっている状態だったとしても,衛星としては「生きている」わけだ(でなければ,停波信号を送信してもそれを実行できない).その衛星に,機能を停止させる停波信号を送るというのは,意識不明の患者から生命維持装置を外すようなものだ・・・と書いてあったように記憶している.
(今はどうか知らないが,かつては,衛星がその最期を迎えると,鹿児島県内之浦町(現肝付市)では,その衛星の「お葬式」が“しめやかに”行われていたらしい(本当のところは,“盛大な宴会”だったのかもしれないが,そこまでは知らない))

  人工衛星であっても機械であることに変わりはない.機械である以上,いつかは壊れる.しかし,それは次への一つのステップでもある.
  次世代赤外線天文衛星「SPiCA」は2018年の打ち上げを目指して準備が進んでいる.

お疲れ様,そしてさようなら,「あかり」ちゃん.

 

この記事を読んで,「そうやって機械の塊である衛星や探査機にも愛情を注いでいるからこそ,大きな成果も生まれるのかもねぇ」と思った方,こちらをクリックして共感の投票をお願いします.→にほんブログ村 科学ブログ 天文学・宇宙科学・天体観測へ

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