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2011年10月30日 (日)

ラジオ・ドラマ「宇宙戦争」

   イギリスのSF作家,H.G.ウェルズが書いた「宇宙戦争」がラジオ・ドラマ化され,アメリカのCBSネットワークで放送されたのが1938年10月30日,つまり73年前の今日である.
  このドラマ,原作の「宇宙戦争」の物語を,リアルにニュース仕立てに構成したものであった.最初と最後に,「フィクションである」ことを告げる断りがされていたのだが,途中だけを聞いた人は,それが本当のことだと思い込み,全米でパニックが起こったとされる(実際には,全国の警察に膨大な数の問い合わせがあったことは事実だが,それ以上のことは起こったという証拠はほとんどないらしい).

  そういえば,何年か前,イギリスのBBCがエイプリル・フールのジョークとして放送したUFOの情報が,いつの間にやら「真実のものらしい」と広まってしまったことがあった 

  こういうことが起こるのは,多くの人が,メディアから流される情報を簡単に信じてしまうことに原因があるのだと思う.

  数ヶ月前まで,ネット上のあちこちで見かけたものとして,
「東日本大震災は,エレニン彗星の接近が原因で起こったもので,再び接近する時にまた大地震が起こる」
というものもあった.情報の出所は知らないが,複数のサイトで見かけたので,その情報を見た人がそれを信じ込み,新たに掲載したものであったのだろう(現在までに,その肝心のエレニン彗星は核が分裂して消滅してしまった).
  件の情報を信じてしまっていた人は,「彗星」というものがどんなものか知らなかったのだろう.「彗星」とは核が主に氷でできていて,その大きさは標準で数km程度.ということは,その核がもつ重力など地球の数万分の1程度.そんなものが月までの距離の数倍まで近づいたからといって地震を引き起こせるはずがない.「彗星」の正体を知っていれば,それによって地震が起こるなんて話は冗談にしか思えない.

  これまたネット上で度々見かける「地震雲」.
  たしかに,過去に発生した地震の前に,「もっともらしい」雲が目撃されているという例もあるにはある.しかし,問題なのは,「どこそこで地震雲が出ていたから,数日後には大地震が起こる」と主張する人が,それが「本当に地震雲なのか」を検証していない点にある.地震の前兆たる「地震雲」であることを主張するならば,その雲が気象学的にありえる雲でないことをまず検証すべきところだが,地震雲云々を言っている人の中に,気象学の知識を持っている人はあまりに少ないように見受けられる.
  例えば,新天体捜索に情熱を注いで折られる方達だと,「もしかして新天体かもしれない」というものを見つけた際,まずやることは,「既知の天体である可能性を徹底的に調べる」ことである.そこに移動天体はないか,変光星はないか,赤外線天体はないか,何か機材の都合で写真に写り込んだ虚像ではないか.それらをすべて検証した上で,「既知の天体ではなさそうだ」という結論になり,そこまで行ってようやく報告をするのである.
  最近話題になった「超光速のニュートリノ」もそうだ.実験を行ったのは随分と前のことだが,その後,研究者たちは,「結果が間違いである可能性」を徹底的に検証,どうしても実験結果を否定することができなかったので報告に踏み切り,「検証実験」が行われることになっている.
  どちらにしても,まず目の前の事象を,自分が思う「結論」を否定する立場から徹底的に検証を行い,否定できない場合にのみ,結論として報告・発表しているのである.
  否定する立場からの検証をしていない情報というものは「信ずるに値しない」と思うのだがいかがだろうか.

  情報が氾濫している時代,目にした情報が正しいものかどうか自分なりにしっかりと検証する習慣をつけておきたいものだと思う.

 

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