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2011年10月 5日 (水)

やっぱり難しい

  昨日(4日)は昼間に市内某小学校で観望会.
  昼間の観望会ということで,観望対象は太陽.参加人数が多い(150名ほど)こともあり,安全面を考慮して,白色光で見ることは諦め,Hα望遠鏡のみでの観望とした.

  ところが.

  過去に何回か同じような観望会をした時の経験から言って,
「慣れない人にはプロミネンスは見えない」
のだ.慣れてしまえば「なぜ見えないかわからない」のだが,そう言ってみても「見えない」と言うのだから仕方がない.

  そこで,昨日の観望会では,実際にHα望遠鏡を覗いてもらう前に,

  太陽についての薀蓄.太陽は地球の109倍の大きさがある,太陽までの距離は1億5000万kmで,時速100kmで行くと170年くらいかかる,太陽の表面の温度は6000度くらい・・・などなど.
  それから,太陽の光がどれだけ強烈なのかを感じてもらうために,虫眼鏡で太陽の光を集めてプラスチックのコップを溶かす実験(普通ならここは紙を燃やす実験だが,それで火事でも起こしたら大変なので,硬質プラスチックを溶かす実験にした.これなら火は出ないが,固いプラスチックが簡単に溶けてしまったことに子供たちはかなり驚いたようだ).
  古いOHPから取り外したフルネルレンズを使い,虹を作る実験.いろいろに変化する虹ができるので,これもまた子供たちは大喜び.ひとしきり楽しませたところで,
「太陽の光って,普通は色がついて見えないけれど,本当はこうしていろんな色が混じり合っているんです.で,今日は,このいろんな色の中から,赤い方の色,それも特殊な色(←これがHα線のことだ)だけを取り出して見る望遠鏡で太陽を見てもらいます.だから,望遠鏡を覗くと赤く見えますが,太陽が赤いわけじゃなくて,赤い色だけ取り出して見ているから赤くみえるんです」
  そして,過去に撮ったHαの太陽像を見せて,
「太陽のヘリのあたりから,こうしてにょきにょきと伸びているものが見えますから,これをしっかり見てくださいね.これをプロミネンスと言います」

  と,たっぷり30分をかけて前フリをした後,Hα望遠鏡を覗いてもらった.

  参加したご父兄の中には,
「あぁ,ホントだぁ,良く見えますね.他になんか白い斑点も見えませんか?」
黒点やプロミネンスより見え辛い白斑までしっかり見分けた方もあったが,

「赤い丸いのしかわからない」
という人も.地面に図を書いて,
「このへんに,その丸いのから何か飛び出ているのが見えませんか?」
「えぇ・・・わからない・・・」

慣れている私は,望遠鏡を覗いた瞬間にプロミネンスが目に入ってくるのだが,それが見えないと言われると,どうして見えないのか分からない.

  そういえば,どこかで
「脳はそのままに,視覚だけ他人と入れ替えることができたら,とんでもない世界が見えるだろう」
というのを読んだことがある.色にしても,形にしても,大きさにしても,生まれてから今までの間の経験によって認識しているのだろうから,それが突然,視覚だけ別な人のものに入れ替わったりしたら,とんでもない世界に見えるんだろう.

  逆立ちしてみても,同じものを他人にどう見えているのかなんてわからないわけだ.
  難しいねぇ.こういう時,どうしたらわかってもらえるんだろう?

 

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