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2011年7月 8日 (金)

スペースシャトルの名前

  これで最後となるスペースシャトルの打ち上げが,日本時間明日(9日)午前0時26分に予定されている.もっとも,現地の天候が悪く,延期になる可能性が高いらしいが.

  30年にわたるスペースシャトルの最後を飾るのは「アトランティス」だ.

  こういうタイミングでこういう話題というのも何だが,実はずっと疑問に思っていたことがある.

  スペースシャトルと言えば,「コロンビア」,「チャレンジャー」,「ディスカバリー」,「アトランティス」,そして「エンデバー」.そして,地上試験機の「エンタープライズ」.
  とりあえず「エンタープライズ」は置いといて・・・

  「コロンビア」・・・地名
  「チャレンジャー」・・・挑戦者
  「ディスカバリー」・・・発見
  「アトランティス」・・・伝説の大陸の名前?
  「エンデバー」・・・努力

  なんでこう脈絡のない名前になったんだろう?何か共通点があるのか?それとも,全然そんなことを気にせず命名されたのだろうか?

  その答えは,

  「コロンビア」・・・18世紀のアメリカ人ロバート・クレイの帆船「コロンビア号」.コロンビア川を発見している.ちなみに,アポロ11号の指令船の名前も「コロンビア」だった.大きな計画での最初の船にこの名前を使うことが多いらしい.
  「チャレンジャー」・・・19世紀イギリス海軍のコルベットの名前.太平洋,大西洋,インド洋,南極海の調査を行った.
  「ディスカバリー」・・・ジェームズ・クック(いわゆる「キャプテン・クック」だ)の最後の帆船の一つ.また,ハドソン湾を探検したヘンリー・ハドソンの船も「ディスカバリー」であった.「発見」という意味なので,宇宙,地上を問わず探査船の名前にはよく使われる.ちなみに,「2001年宇宙の旅」に搭乗した木星への有人宇宙船も「ディスカバリー」である.
  「アトランティス」・・・1930年から1966年,ウッズホール海洋研究所で使われた海洋調査船.
  「エンデバー」・・・ジェームズ・クックの南太平洋探検の時に使われた帆船.この帆船の名前が由来なので,スペースシャトルの「エンデバー」の綴りはアメリカ式の “Endeavor” ではなく “Endeavour” とイギリス式の綴りになっている.かつて,発射台に掲げられた横断幕が “Endeavor” と間違って綴られていたことがあったとか.

  というわけで,オービターの名前は全て,過去に活躍した探査船・調査船の名前だったというわけだ.未来を切り開く宇宙船の名前,解ってしまえばなるほどふさわしい名前だったのである.

  ちなみに,「エンタープライズ」は・・・

  まだ計画段階だった頃,スター・トレックのファンから是非シャトルには「エンタープライズ」という名前をつけて欲しいという要望が多く届いていたことから名づけられた.初期の頃,地上試験機を改修して打ち上げるという案があったが,「エンタープライズ」ではなく「チャレンジャー」の方が改修されることとなった.1986年1月28日,その「チャレンジャー」が打ち上げ直後の空中分解(STS-51L)によって失われた時,再び「エンタープライズ」を改修する案が持ち上がったが,ストックしてあるスペアパーツから新たに建造した方が安価であることがわかり,「エンデバー」が建造された.結局,「宇宙船エンタープライズ」は実現されなかったのだが,最近になって,スケールド・コンポジッツ社が開発した宇宙船「スペースシップ・ツー」が「エンタープライズ」と名づけられ,「宇宙船エンタープライズ」の誕生となった.現時点ではまだ宇宙飛行は達成していない(はず)のだが名実ともに「宇宙船エンタープライズ」となる日も近いだろう.

  さて,スペースシャトル最後の打ち上げだが,この記事を書いている現在,まだ「延期」というニュースは入って来ていない.予定通りならば,もうすぐ燃料の注入が始まる頃だが,さてどうなるか.
  予定通りであっても,延期になったとしても,最後の打ち上げもネット中継できっちり見守ろうと思っている.

 

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コメント

中川さま

わたしの勉強部屋は、西日のきつい2階にあるので、ベランダに黒い遮光ネットをはりめぐらせていて、椎茸栽培の椎茸になった気分で、絵筆を走らせています。
七夕の昨夜は、大雨で、すこしも星空が見えなかったのですけれど、午後に梅雨明け宣言が出されました。山際にはむくむくと入道雲も現れてきました。
今夜は天の川が見えるかもしれない、と思っていますが、今夜スペースシャトルの打ち上げがあるんですね。
25年前の、あのチャレンジャーの事故以来、こわくて、発射の瞬間を、ようみない
でいましたが、中川さんの、きっぱりした決意、やっぱり男の子なんだなあ、・・・と。
(ごめんなさいね。お婆は、どうしても、そういうふうに思ってしまって・・・。)

朝はいつも4時起きなので、夕食後、仮眠をとってから、天の川とロケット発射を見ることにしましょう。
星に願いを!
というのは、七夕の日の、特別大切な習俗ですものね。そういう絵を描き始めていますから。

投稿: 鳥越ゆり子 | 2011年7月 8日 (金) 18時21分

こんにちは。タイムリーな記事に感謝です。

今夜のニュースでスペースシャトルの話題を聞き、なぜに「アトランティス」?と疑問に思い、ネットを立ち上げたついでに、きっと星屋さんのブログにスペースシャトルがらみの記事があるだろうと思ってのぞいてみたら…!!!

宇宙船も「船」ですものね。よくわかる解説をありがとうございました。

投稿: K | 2011年7月 8日 (金) 19時56分

中川さま

スペースシャトル、無事、宇宙へ飛びたちましたね。おめでとう。
わたしも、しっかり見ましたよ。
「日本宇宙少年団」というのも、あるんですね。そういうことも、今度はじめて、わかりました。
「宇宙人を連れてきてほしい」とか
「模型のために金ためるぜ」とか
希望に燃えた子供たちのコメントにも接しました。
中川さんは、そんな子供たちの、たぶん憧れの先輩ですね。男の子だなあ、というわたしの感想は、幾分失礼だと、反省し、「少年心」を持ち続ける中川さん、と訂正
しておきます。
「少女心」なら負けないつもりだけれど、最近は、「老婆心」が付け加わってきて、
これが少々、自分ながらに手にあまるときも。ご寛恕のほど、よろしく・・・

月に群雲、で結局、天の川は観望できませんでした。絵の仕事のためには、どうしてもこの目で確かめておきたいので(空の色とか、光の加減とか)、しばらくは毎晩深夜起きを実行することになりそうです。

高知県にいる友人から、嬉しいニュースが届いて(内容は、まだ秘密)、今朝は、小鳥のように喜んでいます。希望の種子、発芽しました。いずれ、お知らせします。
????????で、いてください。

投稿: 鳥越ゆり子 | 2011年7月 9日 (土) 08時47分

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