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2011年6月12日 (日)

今度はヴァンパイア

  時々誤解されているようだが,「新星」というのは「新しい星」ではなく,「新しく星が現れたように見える現象」である.正体は,(まぁ「新星」にだっていろいろあるのだが)白色矮星にガスが降り積もり,ある限界量を越えた時,表面で熱核融合反応が起こって一時的に非常に明るく輝く現象である.もともとの白色矮星は非常に暗く,普段は見えていないのに,急に明るく輝くので,それまで星のなかったところに新しい星が現れたように見えるので「新星」と呼ぶわけだ.そもそも太陽程度の大きさ(質量)の星が,燃料を使い果たした挙句に外層を放出,残った中心核が「白色矮星」だ.ということは,「白色矮星」とは星の「亡骸」であり,それが急に光り輝くのは,見た目には「亡骸が蘇った」ようなもの(科学的には全然違うが)で,言ってみれば「ゾンビ」である(ここでも時々話題にしているのだが,私はどうも「◯◯界の新星」とかいう表現を見かけると,「◯◯界のゾンビ」と思ってしまうので,「いいのかなぁ」という気がしてしまう).

  先日の記事では,「星の死骸」たる超新星残骸「かに星雲」で観測されたガンマ線バーストを取り上げた.『死骸』の中で活発な活動が起き,しかもその挙動は不可解.どうもコイツは「生きている死骸」らしい.

  そして今度は「ヴァンパイア」だ.
  「青色はぐれ星」と呼ばれる星がある.通常,恒星は,歳をとってくると,燃料を使い果たし,もっと効率の悪い燃料で核融合を起こしてなんとか光ろうとするものだ.なので,年老いた星(と言うとやや語弊があるのだが,星の一生の中で終焉に近くなっているという意味)は,表面温度が下がり,赤く見えるのが普通だ.ところが,この「青色はぐれ星」は,年老いた星のはずなのに,青く,若々しく輝いているのである.どうしてこういうことが起こるのかということについては,諸説あった(中には,“知的生命体が自らの主星を若返らせているのだ”なんていうのもあった)が,どうも別な星から燃料を剥ぎ取って,あるいは星そのものを飲み込んで若返っているということらしいのだ.まんま「ヴァンパイア」じゃないか.
  その「青色はぐれ星」,球状星団のように,密度の高い星団の中ではこれまでにもたくさん見つかっていたのだが,今度は銀河系の中心領域でも見つかったらしい.

  宇宙には「魔物」のような天体が結構あるようだ.

 

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コメント

中川さま

宇宙はゾンビとバンパイア・・・ですか?
そういうふうに星を考えたことがなかったので、急に、どくろ化面の黒いマントが
ブラックホールのように、ひるがえりはじめました。漫画家だったら、そんな絵を描くけれど、ひょっとして、わたしの絵にもそんなイメージの作品が加わるかも・・・

近々、絵画展と朗読会のポスターチラシができあがります。ふれあいの里にお届けしておきます。まずまずの絵が描けたのではないかと想っていますが、はて?

投稿: 鳥越ゆり子 | 2011年6月13日 (月) 07時53分

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