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2011年6月 7日 (火)

月が熱い

  いや物理的に「熱い」わけではない.

  NASAが,アポロ17号(アポロ計画最後の有人月ミッション)が持ち帰ったサンプルを詳細に調査した結果,月には,従来推定されていたより100倍近くもの水が存在しているらしいということが判明した.
  アポロ17号が持ち帰った試料の中には「オレンジ色の火山ガラス」があり,この中に,火山噴火で形成されたと考えられる「メルト含有物」が見つかった.最新の分析機器を用いて「メルト含有物」の水含有量を測定した結果,615〜1410ppmの水が含まれていることがわかり,これが従来想定されていたより100倍近く多い量だったという.また,他の化学組成も分析した結果,原始地球の海嶺玄武岩と良く似ていることがわかった.このことは,形成初期の月と地球が良く似ていることを示すものだという.
  「月がどのようにしてできたのか」という問題に関しては,現在,原始地球に火星ほどの大きさの天体が衝突,それによってはじき飛ばされた物質の中から月が形成されたとする「ジャイアント・インパクト説」が有力だ.しかし,これでは,形成の過程で非常に高温になるため,水はどんどんと逃げて行ってしまうはずだ.それなのに,大量の水が存在していた痕跡が見つかったとなれば,「ジャイアント・インパクト説」にも何らかの見直しが必要になるかもしれない.

  アポロ17号が月からサンプルを持ち帰ったのは1972年のこと.今から40年近くも前だ.その試料を現在の最新機器で分析できるというのは,まさに「サンプル・リターン」の威力というところか.

  「ジャイアント・インパクト説」は間違いなのか,あるいはそれとは別に,水を多く留める別なシナリオがあるのか・・・そのことを知るためには,もっとサンプルが欲しいところだ・・・これはまた,月からの「サンプル・リターン」ミッションが行われることになるか?それとも,それは民間の宇宙船がやることになるのか?いやいや,月は「人類が何度か行ったことのある天体」だ,いっそ,「月まで行って調べれば?」などなど,妄想はいくらでも膨らむ.先日の記事で は,民間で開発した宇宙船で月を目指すコンテスト「Lunar X PRIZE」を紹介したが,そこへ来て今度はこのニュースだ.もともと,「Lunar X PRIZE」では,「水または氷の痕跡を見つける」と賞金に500万ドルのボーナスがつくことになっていたから,これはさらに面白いことになりそうだ.アポロ計画の頃の月探査は,冷戦真っ只中のアメリカとソ連の熾烈な競争だった.それから40年,今度は世界中の民間企業が熾烈な競争を繰り広げるのだろうか.

  月が「熱く」なってきた!

 

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