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2011年5月24日 (火)

X PRIZE 今度は月!

  民間による最初の有人弾道宇宙飛行を競う “Ansari X PRIZE” というコンテストがあった.
  これに見事優勝したのが,スケールド・コンポジッツ社(Scaled Composites)の「スペースシップワン(SpaceShipOne)」で,2004年6月21日,初めて有人で高度100kmに到達,続いて9月29日と10月4日にも同様の飛行を成功させ,見事賞金1,000万ドルを獲得した.現在は,その後継機となる「スペースシップツー(SpaceShipTwo)」を開発,本格的な商用宇宙飛行サービスをめざし,その1号機である「エンタープライズ(Enterprise)」で種々の試験飛行をしている最中である.

  “Ansari X PRIZE” を主催した X PRIZE 財団が,今度は “Lunar X PRIZE” を行っている.“Lunar”とある通り,今度は月探査である.民間の宇宙船で月に探査機を着陸させ,着陸地点から500m以上を走行,高解像度の画像やその他のデータなどを地球に送信することを競うコンテストで,2012年12月31日までに最初にこの規程の探査を成功したチームには優勝賞金2,000万ドル,この期日までに成功したチームがなく,2014年12月31日までに最初に成功させたチームには1,500万ドルが贈られる.また,「月面で水や氷を発見する」「過去の月探査の痕跡を見つける」「5km以上走行する」「月面の夜を乗り切る」といった条件を達成すれば,それぞれ500万ドルのボーナスがある.
  このコンテストには世界中から29チームが参加,日本からも「ホワイトレーベルスペース・ジャパン」というチームがエントリーしている.

  日本からのチームが参加しているとなれば,ぜひ頑張って優勝賞金を獲得して欲しいと思うところだが,それ以上に・・・

  最初のデッドラインは2012年12月31日.となればもう残り2年を切っている.もしそれが無理だったとしても,優勝賞金を獲得するためには2014年12月31日までに達成しなければならない.言い換えれば,もしこのコンテストに優勝するチームがあるのだとすれば,あと4年以内に民間の宇宙船が月に着陸することになるのだからこれは大興奮間違いなしだ.

  1960年代,冷戦真っ只中の米ソが熾烈な月探査競争を行っていた.結果は良く知られている通り「アポロ11号」で人類初の有人月着陸を成功させたアメリカに軍配が上がったのだが,この背景には,相手国に大して,自国の弾道ミサイル技術を誇示するという,非常に恐ろしい軍事的な目的もあった.
  だが,今度は違う.民間による月探査競争だから,軍事的な目的は関係ない.それこそ,技術者たちが,自らの誇りをかけて挑む壮大なコンテストである.宇宙船・探査機の開発・運用には莫大な費用がかかり,たとえ優勝賞金2,000万ドル(日本円で約16億円)を獲得したとしても,赤字になってしまうかもしれない(実際に,Ansari X PRIZE に優勝したスケールド・コンポジッツ社も赤字だったらしい).しかし,それでも,「民間で初めて月探査を成功させた」という栄誉を獲得するために,全力を尽くすのが技術者魂というもの.もしかしたら,意外に早く,どこかのチームが成功させてしまうんではないかという気もする.

  別な期待もある.このコンテストそのものは赤字覚悟とは言え,民間で行うからには,将来的にビジネスとして成り立つ見込みが必要だろう.失敗してしまっては大損になるから,安全性はより高いものが求められる.費用が高額では受注がなくなってしまうから,費用も安くなければビジネスとして成り立たない.

  ニュースとしてはあまり伝わって来ないが,アメリカを中心に,民間による宇宙飛行の競争が激化しているらしい.こうして激しい競争が行われていることによって,「より安全で,より安い」宇宙飛行のための技術が飛躍的に進歩していくことだろう.
  観望会の折,子供たちに,「君たちは将来宇宙にいけるかもしれないね・・・でもまだ無理かなぁ・・・君たちの子供くらいなら大丈夫かもね」なんて話を良くしているのだが,普通の人が宇宙旅行を楽しめるようになる日は,意外とすぐやってくるのかもしれない.

  ・・・“私が生きているうちに”っていうのは無理かなぁ・・・行ってみたいなぁ,宇宙・・・

 

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