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2011年3月 1日 (火)

手軽な天体観測?

  羽田空港の新国際線旅客ターミナルには世界初の「プラネタリウムカフェ」がオープン,あちこちのプラネタリウム館では,3D映像を駆使したり,有名人の語りがあったりという番組が上映されている.そして,「美しい星空を眺めながらのリラクゼーション」を売りにした「プラネタリウムエステ」なるものもオープンしたらしい.全国で「手軽な天体観測」がブームなのだそうな.

  多くの人が星や宇宙に興味をもってくれるのは大いに結構なことなのだが,上に書いたような状況にはやや疑問符がつく.
  人気なのは,「プラネタリウム+α」のものが多い.いずれも,快適な部屋で,リラックスして,しかも自分自身は100%「お客さん」である.そして,どんなに趣向を凝らした番組であっても,そこに映し出されている星々は所詮ニセモノである.

  実際に,夜空の下で,本物の星からの光を見ようをするとそうは行かない.当然夜しか見られない(しかも,綺麗な星空を見たければ,人工の光を避けてどうしても深夜に見なければならないし,そもそも,見たい天体が見たい時間に見られるとは限らない)から,眠気に耐えることは全然珍しくない.夏場ならともかく,冬場は当然寒さに耐えなくてはならない.プラネタリウム番組ならば,だれでもなんの苦労もなく見られる天体でも,実際に望遠鏡でその天体を見るには,望遠鏡を覗く本人もそれなりに一生懸命になる必要がある.「慣れ」も必要で,充分に楽しめるようになるまでには,それ相応の努力も必要になってくる.100%「お客さん」というわけにはいかないのである.

  「お手軽」「お気軽」がはやる世の中だが,本物をじっくり味わおうとすれば,そこにはそれ相応の苦労も付き物なわけで,「手軽な天体観測」とやらがやたらともてはやされ,みんな「ニセモノ」で満足してしまって,苦労して本物を見ようとしなくなってしまうのではないかと不安に思う.

  たとえ「天体観測」でなくて「天体観望」であったとしても,そこにはそれ相応の苦労もあり,その苦労故におもしろいものでもある.天文の世界もこれで人生の縮図,苦労した末に味わうおもしろさの方が「手軽」なおもしろさよりずっと大きいものだと思う.プラネタリウムを楽しんだら,その後は,想像力を存分に働かせて,本物の夜空も楽しんでほしいものである.

SETI@home 現在の順位 世界…61,157位(/1,163,102人)国内…2,318位(/30,242人)
Einstein@home 現在の順位 世界…8,100位(/289,446人)国内…186位(/4,211人)

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