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2010年10月30日 (土)

サターン V SA-506

  バンダイから「大人の超合金」シリーズの第一弾として「1/144 サターンⅤ型ロケット」が発売されることを耳にし,その値段から「買えないや」と想い,でもやっぱり欲しくて,「それならペーパークラフトで作れないか?」と思いついてからほぼ1年.思えばずいぶんと遠回りをしたが,遂にその「本命」をここに登場させる時がやってきた.

  ペーパークラフトロケットシリーズ,今回は
1/100 スケールペーパークラフトによる サターン Ⅴ SA-506 (アポロ11号) 人類初の有人月着陸を達成したアポロ11号を打ち上げたロケット,サターン Ⅴ.型紙は “The Lower Hudson Valley Paper Model E-Gift Shop” から.
  当初,サターンロケットは,C1,C2,C3,C4,C5と開発が進められる予定であった.そのC1にあたるのがサターン Ⅰ型である.C2からC4までの計画は開発期間と予算の圧縮のため中止,その代わりに,C2以降でテストする予定であったJ-2エンジンを搭載する上段ロケットを採用したⅠB型が開発された.
  サターン Ⅴ型はC5にあたり,第一段 “S-ⅠC” にはC2以降で採用される予定だったF-1エンジンが使用されている.このF-1エンジンは液体酸素とケロシンを用いた液体燃料ロケットで,1基あたりの推力は6.7MN,これはスペースシャトルのメイン・エンジン “SSME” 3基の合計推力よりも大きく,燃焼室が1基のみの液体燃料ロケットエンジンとしては,現在に至るまで史上最強を誇る.“S-ⅠC” はこのF-1エンジンを5基使用しており,その離床推力はソ連のエネルギア・ロケットによってわずかに更新されるまで世界最強であった.
  第二段はⅠB型の第二段として用いられた “S-ⅣB”と同じJ-2エンジンを5基備える “S-Ⅱ”である.第一段のF-1エンジンは打ち上げ後約2分30秒で燃焼を終了(中央の1基のみは,加速度の調整のため2分で燃焼終了), “S-Ⅱ”によって大気圏上層まで運ばれる.そして,ⅠB型の第二段と基本的に同じ構造をもつ第三段 “S-ⅣB” の推力により地球を周回する待機軌道に到達,待機軌道上で地球を2周半周回した後,再度J-2エンジンに点火して月への軌道に入る.なお,このように,月へと向かうためにはほぼ無重力の状態でJ-2エンジンに再び点火する必要があり,そのために燃料を燃料タンク下部に寄せるため,サターン Ⅴ型で用いられた “S-ⅣB” には,微小推力を発生させる装置が取り付けられており,ⅠB型で用いられた “S-ⅣB”とは細部が少し異なっている.
  なお,総重量3038.5t,全長110.6mは史上最大であり,低軌道へ118tのペイロードを投入できる能力もいまだに越えられていない.まさに「空前絶後」の巨大ロケットである.
  モデルは,人類初の有人月着陸を果たした「アポロ11号」を打ち上げた時のもの.サターン Ⅴ型ロケットは,1967年11月9日,無人の「アポロ4号」を載せて初飛行した後,「アポロ6号」から「アポロ9号」まで(アポロ5号と7号はⅠB型で打ち上げ)で様々な試験を行い,1969年5月18日に打ち上げられた「アポロ10号」では月着陸の予行演習を行った.
  そして,いよいよ本番,有人月着陸を目指した「アポロ11号」が打ち上げられたのは1969年7月16日,付近の高速道路や海岸に集まった無数の人々,そして,世界中数百万の人がテレビで見守る中,ケネディ宇宙センターから飛び立って行った.クルーは,ニール・アームストロング,マイケル・コリンズ,バズ・オルドリンの3人であった.
  月着陸は日本時間1969年7月21日午前5時17分,それからおよそ6時間半後の日本時間午前11時56分,アームストロング船長が月面にその第一歩を記した.

  “That's one small step for (a) man, but giant leap for mankind.”
  (これは一人の人間にとっては小さな一歩だが,人類にとっては偉大な飛躍だ)

  この模様は世界中にテレビ中継され,全世界の人々が熱狂した.
  アームストロング船長とオルドリン飛行士は,様々な科学実験装置の設置,岩石など試料の採取,写真撮影など予定された月面活動を消化,着陸船にもどって7時間の睡眠をとった後,日本時間7月22日午前2時54分,月を後にした(月着陸船には,この離陸のためのエンジンは1つしかなかった.このエンジンが不調を来せば,二度と月を離れることができなくなるわけで,実はそうなった時のための大統領声明が準備され,放送用の録画まで用意されていた).その後,月軌道上でコリンズ飛行士が待つ指令船にドッキング,一路地球帰還を目指し,日本時間25日午前1時50分,西経169度9分,北緯13度19分の海上に無事帰還した.
  「アポロ計画」では,この後,1972年の「アポロ17号」まで7回の打ち上げが行われ,指令船の事故により月着陸を断念,絶望的な状況の中無事地球帰還を果たし,後に「輝かしい失敗(Successful Failure)」と呼ばれることになる「アポロ13号」を除き,全て月着陸に成功している.

  というわけで,本命のサターンⅤ型である.
  最初に書いたように,超合金のサターンⅤ型が買えないので,ペーパークラフトで作ることを思いついたのだが,せっかく作るならば,ばっちり作りたかった.そこで,練習のためにとH-ⅡAロケットを作り,天文教室などのネタのためにとソユーズロケット(野口聡一さんがこれで宇宙に旅立つ直前だった)やスペースシャトル(STS-128 ディスカバリー)を作り,「さていよいよ本命」と思ったのだが,「どうせやるなら,マーキュリー計画やジェミニ計画も含め,アメリカの有人宇宙飛行を時系列を追いながら作ってみようか」と余計なことを思いつき,さらに,「いや,いっそのごと宇宙開発の歴史を追ってみよう」などとさらに余計なことを思いつき,散々遠回りをした挙句,ここにたどり着くまでに50基を越えるロケットを作ってしまったのだった.
  そして「今度こそ本命♪」と楽しみに製作にかかったのだが・・・

  職場で行われる,市内の小中学生の「理科作品展」にこれまでに作ったロケットたちを展示することになった.となれば,サターンⅤ型がないというではカッコがつかないので,それまでに間に合わせることに.本当はじっくり時間をかけて製作そのものも楽しみながら作る予定だったのに,“外見だけを先に突貫工事で作り,とりあえず展示をしてから,見る人がいない夜間や休日を利用して細部を作る”という,やや寂しい作業をするハメになってしまったのだった.あぁ,ずっとずっと楽しみにしていたのに・・・

  もちろん,これも各段が分離するように作ってある.

  まず最初に,第一段 “S-ⅠC”.
1/100スケールペーパークラフトによる サターンⅤ型の第一段 S-ⅠC いやはや,さすがにでっかい.第一段だけでも全長42m(ということは1/100スケールにしても42cm!).2,280tもある重量のほとんどは燃料であるケロシンと酸化剤の液体酸素だというのだから驚きだ.しかも,それだけのものをたったの2分半ほどで使いきり,それでも大気圏上層までもたどり着けないというのだからもっと驚きである.

  次に第二段 “S-Ⅱ”. 1/100スケールペーパークラフトによる サターンⅤ型の第二段 S-Ⅱ なるほど,下部にはJ-2エンジンが5基ある.側面にへばりついている “Fuel-line Fairing” の部分の工作が少し難しかった.しかも,この部分の作業はほとんど,夜中に進めることになったのであった.ちなみに,この“S-Ⅱ”から撮影した,切り離され,落下して行くインターステージの写真は有名である.

  さらに第三段 “S-ⅣB”. 1/100スケールペーパークラフトによるサターンⅤ型の第三段 S-ⅣB この部分は,ⅠB型の “S-ⅣB” とほとんど同じ.違うのは,上の写真下部左右にある “Aux thruster” と,ヘリウムタンク(下部エンジンフェアリングの周囲についている球形のものがそれ.実はこの部分,ズルして画鋲を塗装して取り付けてある)くらい.実は,サターンⅤ型に使われたS-ⅣBは,第二段との間のインターステージと一体になっていたということらしいが,それを知ったのは完成させた後のことであり,インターステージと第二段の接続部分はちょっとカッコ悪い作りなので,とりあえずここでは分離させている.この部分の構造も見せたいし.また,実機の写真を注意深く見たところ,どうも型紙の通りと取り付け位置が違うものがあったので,実機の写真に近くなるように位置を変更して取り付けてある.

  そして,アポロ11号.
1/100スケールペーパークラフトによる アポロ11号 とくにアポロ11号の特徴を再現したというわけではないのだが,ⅠB型のアポロ7号とはちょっと違う(というか,アポロ7号の方をちょっと変えたのだが).これもⅠB型を作った時と同じように,磁石を仕込んで,指令船と機械船が分離できるように作ってある.
  さらに,熱シールド+LESも着脱が可能なように作ってある.指令船とLESを分離させた姿が↓
1/100スケールペーパークラフトによる アポロ11号の指令船とLES この部分はⅠB型のものと全く同じ.

  ということでこれで完成・・・なのだが,何か足りない・・・そうだ!月着陸船がないじゃないか!

  せっかくのアポロ11号なのに月着陸船がないのは寂しい.

  で,コイツを作ってやろうと思いついたのだが・・・コイツは形が複雑だ.これを1/100や1/96で作ろうなんてことを考える人はそうはいないらしく,手に入る型紙はほとんどが1/48くらいのもの.しかも揃いも揃ってみんなエラく細かい.それを1/100で作るとなるととんでもなく細かい作業になる訳で・・・いくつかの型紙を見比べてみて,一番作れそうなものを選んだ.この型紙も,サターンⅤ型本体と同じ “The Lower Hudson Valley Paper Model E-Gift Shop” から.ただし,さすがに型紙のままだと細部が大雑把だったので,細部の部品は “U-DON'S FACTORY” で公開されているものを流用させて頂いた.そして,これまたコイツは全て夜中の作業となったのだが,1/100スケールペーパークラフトによる アポロ月着陸船まぁまぁの出来かなぁ.しかし,コイツを作るのは相当苦戦した.だいたい,ロケットのペーパークラフトなんて,基本的には単純な形のものが多いのだが,コイツの形の複雑なこと!
  で,本当は “S-ⅣB”の上部に格納するつもりだったのだが,

「あ゛,格納されている時は,脚はたたんであるのか・・・」

しかも,実は指令船の先にドッキングできるようにと,指令船の先に仕込んだ磁石(◯ップエレキバンの磁石!)にくっつくように小さな金具を仕込んだのだが,磁力が弱すぎてうまくくっつかなかった.世の中そう甘くはないらしい.
  もう作り直す気力はないぞ.仕方ない,別に置いておくとするか.格納してしまっては見えないだろうということで.

  これでパーツが全部揃ったので,そのパーツたちを並べて一枚.

1/100スケールペーパークラフトによる サターンⅤ SA-506 (アポロ11号),各パーツに分離した状態 なかなか壮観だ.さらに,これまでに作ったサターンロケットシリーズを並べて一枚.

1/100スケールペーパークラフトによる サターンロケットたち (左から,サターン Ⅰ SA-6サターン ⅠB SA-205 (アポロ7号),そしてサターンⅤ SA-506 (アポロ11号))

いやはやでっかいぞ.1/100スケールでも全長1m10cm.かなりの迫力だ!迫力だけなら「大人の超合金」より上だ!・・・きっと・・・たぶん・・・

完成写真の大きな画像はこちらからどうぞ.→Saturn Ⅴ SA-506 (Apollo 11)

  そしてコイツが観望会などで大活躍!これを見た子供たちの喜ぶ顔が何より嬉しい.これまでにも数人がこのサターンⅤと一緒に写真に収まっている.その中から将来の宇宙飛行士が誕生したらもっと嬉しいぞ(そうなれば私も有名人♪)!

  ちなみに,昨年の11月,毎年行われているイベントにそれまでに完成していたロケットを数本持参して行った.その場に集まった子供たちに,
「来年までにスペースシャトルとサターンⅤ型ロケットは作ってくるからね」
と約束していた.そのイベントが来る11月7日に行われる.

約束は果たしたから,楽しみに待っていてね!

  これで遂に本命まで到達したわけだが,ここまでやってしまった以上,もちろんこれでは終われないのだった.まだまだ(マニアックな)闘いは続く・・・

ロケットのペーパークラフトは是非↓こちらもご覧ください
PASA : Papercraft Aeronautics and Space Administration

SETI@home 現在の順位 世界…66,990位(/1,132,759人)国内…2,519位(/29,627人)
Einstein@home 現在の順位 世界…8,784位(/279,583人)国内…207位(/4,076人)

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コメント

1/100のサターン5ロケットはいいですね、1/151のサターン5を子供達の前で市販の火薬ロケットエンジンで飛行させています、もちろん、H-2A、ミュー5も打ち上げて人工衛星のミニチュアモデルを放出させています

投稿: 技術屋パパ、 | 2010年11月 1日 (月) 17時05分

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