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2010年9月28日 (火)

あらためて「はやぶさ」

  先日,書店に言った際に2冊の本が目に止まった.片方は「見つけたら買おう」と探していた本.片方はその時初めて存在を知った本.すぐさま両方とも手に取り,中身を見ることもなくレジへ.
  前者は山根一眞著『はやぶさの大冒険』(マガジンハウス 刊).
  後者は的川泰宣著『「はやぶさ」の奇跡』(PHP研究所 刊).

  片方は記者の目から,片方は現場で運用の中心にいた人の目から見た,7年にわたる「はやぶさ」の旅が克明に書かれている.

  『「はやぶさ」の奇跡』は,『「はやぶさ」から』という見出しで,JAXAメールマガジンで配信された内容そのままの 序章「命と炎のリレー」で始まっている.
  そして,「はやぶさ」の中心にいた人ならではの緊迫感で,運用に関わった人たちの苦悩・苦闘の様子が克明に記されている.

  「栄光無き世界記録」
  最初の「イトカワ」へのタッチダウン.しかし,もう着地しているはずなのに,着地のいかなる証拠も現れず,あるデータによれば,「はやぶさ」はまだ降下を続けていた.どうなっているのか状況がつかめないまま,川口プロマネの判断により,ガスジェットをふかして離陸した.ともかくも,地球と月以外の天体から,人工物が飛び立ったのはこの時が世界初だった.この時,著者の的川教授は,世界初のことだから,記者会見をしたらどうかと川口プロマネに勧めたが,川口プロマネは,「きっぱりとサンプルをとってから記者会見をしたい」と言ったという.テレビなどで見かける川口教授は温厚で穏やかな方だが,いざという時には,頑とした意志の強さを発揮する,誇り高い人なのだと感じさせるエピソードだった.

  『はやぶさの大冒険』は,さすが「物書き」の専門家らしく,読ませる文章で,当事者たちからは一歩引いた立場から,しかしその現場の近くで見た『小説より奇』な事実の物語が語られる.

  『4時間だけの歓声』
  2度めの「イトカワ」へのタッチダウン.「はやぶさ」から無事にタッチダウンしたという信号が届いた時,プレスルームに置かれたテレビ画面には管制室でVサインをする的川教授の姿が確かに写っていた.しかし,記者会見が行われるまで8時間も待たなければならなかった.この間,「はやぶさ」チームは,化学推進エンジンの燃料が漏れるという,地球から出発してから最大の危機への対応に追われていたのだった.読んでいる自分もその場にいるかのように,プレスルームでの緊張感や不安感が伝わってくる文章で,思わず手に汗を握った.

  『大星空から「さようなら」』
  今年6月,オーストラリアのウーメラ砂漠で著者が目撃した「はやぶさ」帰還の顛末.オーストラリアの「暴力的としかいいようのない美しさの満天の星空」を真昼のように照らし,「私たちへの永遠の別れを告げた」.
  この章はこう結ばれている.
『「はやぶさ」,君は,最後の最後まで大したやつだった.」

  この2冊,両方買うと約2300円.これを迷うことなく購入したわけだが,良い買い物をした,と思う.これまでにもネットの情報を漁り,見つけた本は片っ端から読んだが,まだ知らないことがいくらでも出てくる.山根一眞氏も『「はやぶさ」のことを知れば知るほど,だれもが熱くなる』と書いているが,まさにその通り.実際,まわりに人がいる状況でこの2冊を読む時,涙をこらえるのにどれほど苦労したことか・・・

  ここをお読みのあなた!これは読まなきゃ損!と思いますよ.

SETI@home 現在の順位 世界…67,165位(/1,126,281人)国内…2,516位(/29,510人)
Einstein@home 現在の順位 世界…8,864位(/276,590人)国内…207位(/4,042人)

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