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2010年7月15日 (木)

見えている星は

  昨日(14日)は市内某小学校で観望会.天気は・・・この時期はしょうがないか・・・ほぼベタ曇りで,屋内での天文教室となった.
  夏の大三角の話,自作プラネタリウムによる星座案内,ペルセウス座流星群の案内,そして「はやぶさ」の話題.熱い中での天文教室だったが,みっちり1時間半,子供たちも飽きずに話を聞いてくれた.

  天文教室終了後は,先生方と会食.その席で,
「星から光が届くのに何百年とか何千年とかかかるから,今見えている星ってもうないかもしれないんでしょ?」
と聞かれた.よくある質問だし,感覚的にはそんな気がしなくもないが,果たしてそうだろうか?

「今見えているけれど,その星はもうない」ということは,その星から今見ている光が放たれてから地球に届くまでに消滅しているということだ(それ以前に消滅していれば“今も見えない”わけだし,それ以降に消滅したのならば“今もある”わけだ).
  肉眼で見える星の範囲はせいぜい数千光年程度だろう.望遠鏡を使ったとしても,我々が使えるレベルの望遠鏡では我が銀河系内のものしか「星」として見ることはできないだろうから,「星」として見ることのできる限界はせいぜい数万光年程度ということになる.ということは,こうして見ることのできるもっとも遠い星から光が届くまで数万年ということになる.それに対し,普通の恒星の寿命はざっと100億年程度.質量の大きな星は寿命が短いが,それでも寿命は100万年程度,しかもそんなに大質量の星が全体に占める割合が多いとはとても思えない.したがって,「見えている星」が,たかだか数万年程度の間に見えなくなっているという割合は限りなく0に近いのではないか.
  それより遠く,銀河系外の天体ならどうだろう.ただし,この場合(アマチュアが使える限界に近いほどの立派な望遠鏡を使う天体写真のエキスパートや,大きな天文台ならば話は別だが),もはや星として分離はできないだろうから,その対象は系外銀河ということになる.これならば,数億光年くらい先まで見えるかもしれない(私はまだせいぜい6000万光年くらいまでしか“見た”ことはないが).ということは時間的な余裕は数億年まで広がるが,かと言って,系外銀河が数億年程度の時間の中で消滅するなぞということはとても考えられない.
  唯一の例外はクエーサーかもしれない.クエーサーは明るく輝いて見えるので,数十億光年彼方にあっても見えるかもしれない(これもまた,私自身はまだ“見た”ことはない).宇宙の年齢137億年に対して数十億年という時間はそれなりに長い.地球の年齢が46億年であることを考えれば,普通の銀河が数十億年の間に消滅するというようなことはやっぱり考えにくいが,非常に活発な活動をしているクエーサーならば数十億年の間に劇的に変化する可能性はあるかもしれない.消滅しないまでも“クエーサー”とは呼べない別の天体になっているかもしれない(その場合,地球から見えなくなっている可能性もあるかも).ただし,それとてもそうそうあることではないだろう(そもそも,「見る」ことのできるクエーサーなんてものも片手で足りるんじゃないか?).

  というわけで,
「“今見えている天体が,実はもうないかもしれない”という可能性は限りなく0に近くて,宝くじで1等を当てる可能性の方がよっぽど高いと思いますよ」
と言ったのだが,あんまり理解してもらえなかったらしい.

  私としては,宝くじで1等を当てるより,肉眼で見える超新星にぜひともお目にかかりたいと思っているが.

今年の観望会 予定…49 実施…28 中止…14 延期…2 屋内(外)で天文教室…5 勝率….583(28勝21敗)
連勝できず.貯金が1つ減って7.

SETI@home 現在の順位 世界…68,470位(/1,107,120人)国内…2,555位(/29,214人)
Einstein@home 現在の順位 世界…9,320位(/261,128人)国内…214位(/3,935人)

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