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2010年6月17日 (木)

エネルギア - ブラン

  ペーパークラフトロケットシリーズ,今回は
1/100スケールペーパークラフトによる エネルギア-ブラン これまでで最大の大物にして渾身の力作,ソ連版宇宙往還機「ブラン」とその打ち上げに使われた大型ロケット「エネルギア」.型紙は “Space flight paper modelling” から.
  オービターである「ブラン」の外見がスペースシャトルに酷似していることから,しばしば「スペースシャトルのコピーだ」と批判されたこともあった.しかし,ソ連は以前から有翼宇宙往還機の構想を持っており,1960年代に製作された模型に既にその原型が見られること,スペースシャトル,ブランともにナチス・ドイツが極秘に進めていた「ゼンガー計画」がそのルーツであることなどから,「別な環境で育った双子」とも言えるかもしれない.
  スペースシャトルとの大きな違いは,ブランはあくまでエネルギア・ロケットによって打ち上げられる荷物であるという点である.スペースシャトルの場合,打ち上げ時の推力のうち7割が固体燃料ブースター,残り3割がオービターのメイン・エンジンであり,打ち上げシステム全体がスペースシャトル打ち上げのためのものである.それに対し,ブランの場合は打ち上げ時の推力は全てがエネルギア・ロケットによるものであり,ブラン本体には打ち上げ時に用いるエンジンは装備されていない.機体後尾に見えるエンジンはあくまで軌道離脱用の逆噴射ロケットである.したがって,エネルギア・ロケットは必ずしもブランと共に用いる必要はなく,実際に1987年5月15日に行われた最初の打ち上げではエンジン付き軍事衛星「ポリウス」を打ち上げている(この打ち上げは「ポリウス」のエンジンの不調のため,軌道投入には失敗している).
  ブランの初飛行は1988年11月15日,2回目の打ち上げとなるエネルギア・ロケットに搭載され,バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた.この時は無人飛行であったが,ブランは無事に地球周回軌道に投入され,地球を2回周回した後,バイコヌール宇宙基地に無事着陸した.
  予定では1992年に有人飛行を行うはずだったが,1991年にソ連が崩壊,計画は消滅してしまった.初飛行を成功させたブランはその後もバイコヌール宇宙基地に保存されていたが,2002年5月,暴風雨に襲われた際に破壊されてしまった.現在,ブランの2号機がバイコヌール宇宙基地に保存されている他,試験機のうち1機がモスクワのゴーリキー公園に展示されている.また,打ち上げに使われたエネルギア・ロケットの補助ブースターは,2段目,3段目を加え,ゼニット・ロケットとして現在でも現役で活躍している.

  いやはや製作は大変だった.パーツは合計で48枚!完成まで4週間を費やした.
  まずは,ブランの翼のカーブをきっちり再現するために,骨組みの作業.
1/100スケールペーパークラフトによる ブラン(骨組み) これの外側にいろいろなパーツがかぶさっていって,↓こうなるわけだ.
1/100スケールペーパークラフトによる ブラン ここまでで1週間.想定したより早く完成でき,「これなら(全体が)2週間でできるかも!?」と思ったのだが,大甘だった.エネルギアの製作には3週間かかってしまった.
  とりあえずエネルギアが完成したところで,プロトン-Kと並べて一枚.
1/100スケールペーパークラフトによる プロトン-K と エネルギア エネルギアのボリューム感は圧倒的だ.
  “Space flight paper modelling” でダウンロードできる型紙は Leo Cherkashyn 氏の作.氏の型紙は非常に精度が高く,見た目よりずっと作り易い.コイツの大変さも,サターン I SA-6とは違って,ほとんどは労力の問題だった.まぁ,さしもの Leo 氏もこれほど複雑な形のものは難しかったらしく,時々「?」なパーツもあったにはあったけど.

  ここまで来て,「これでもう一息!」と思ったのだが,この後には最後の難関が待ち受けていた.
  エネルギアとブランを繋ぐアタッチメント.どう考えても型紙の通りでは強度が足りない.いろいろと考えあぐねた末,例によって中心にピアノ線を仕込むことにした.
  まずは上側.
1/100スケールペーパークラフトによる エネルギア-ブラン のアタッチメント(上部) この小さいパーツ(アームの端から端までで3cmくらい)にピアノ線を仕込むのも結構大変だった.
  そして下部.
1/100スケールペーパークラフトによる エネルギア-ブラン のアタッチメント(下部) 今度は,アーム同士,アームと本体の接続部分も強化しておいた.これでブランとエネルギアを接続して完成.
  前側から一枚.
1/100スケールペーパークラフトによる エネルギア-ブラン(前面) そして,大小20個のノズル(ブランの「逆噴射ロケット」も入れれば22個)が並ぶ迫力のホット・エンド.
1/100スケールペーパークラフトによる エネルギア-ブラン(ホット・エンド) 完成まで4週間もかかっただけに,完成した時は嬉しかったなぁ・・・
  スペースシャトル(STS-6 チャレンジャー)と並べて一枚.
1/100スケールペーパークラフトによる スペースシャトル(STS-6 チャレンジャー) と エネルギア-ブラン こうして眺めていると結構面白い.

完成写真の大きな画像はこちらからどうぞ.→Energia-Buran

  そして,いつものようにこれまでに作ったロケットたちと並べて記念撮影.
1/100スケールペーパークラフトによるロケットたち 2010年5月15日 前列左から,A-4RTV-A-2 “Hiroc”バンパー Wacヴァイキング 7ヘルメス RV-A-10ヴァイキング 10ジュピター-Cヴァンガード TV-0ヴァンガード TV-1ヴァンガード TV-2ジュノ ヴァンガード TV-3
2列目左から,スタールト-1L-4S-5Μ-4S-2Μ-3C-1Μ-3H-1Μ-3S-1Μ-3SⅡ-1Μ-Ⅴマーキュリー リトル・ジョーアポロ リトル・ジョーブルー・ストリーク
3列目左から,プロトン-K (ズヴェズダ打ち上げ時)R-7 スプートニクソユーズ-U + TMA-1ツィクロン-3コスモス 3M (Interkosmos-11)H-ⅡA 202型アリアン マーキュリー・レッドストーンマーキュリー・アトラスジェミニ・タイタンサターン SA-6
最後列左から,エネルギア-ブラン,スペースシャトル コロンビア (STS-1)スペースシャトル チャレンジャー(STS-6)スペースシャトル ディスカバリー (STS-128)

  実は製作を始めるにあたっては,なかなか意欲がわかなかったのだが,完成してみると大満足.丁寧に作れば意外と(アタッチメントパーツを除いて)難しくないので,根気に自信があるなら挑戦してみてはいかが?

  しかしねぇ,これほどの「宇宙往還機」がたった一度しか宇宙を飛べなかったとは・・・悲運だ・・・

ロケットのペーパークラフトは是非↓こちらもご覧ください
PASA : Papercraft Aeronautics and Space Administration

SETI@home 現在の順位 世界…68,784位(/1,102,135人)国内…2,542位(/29,087人)
Einstein@home 現在の順位 世界…9,519位(/259,789人)国内…220位(/3,916人)

この記事を読んで,「宇宙往還機が一度しか宇宙を飛べず,挙句の果てに嵐で破壊とは何たる悲運」と思った方,こちらをクリックして共感の投票をお願いします.→にほんブログ村 科学ブログ 天文学・宇宙科学・天体観測へ

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