« 難しい判断 | トップページ | 天気に泣かされる »

2010年5月19日 (水)

星雲の穴

  有名なオリオン大星雲のわずか1°南南西に位置する目立たない反射星雲NGC1999(下の写真).
オリオン座の反射星雲NGC1999   この星雲,良く見ると,中心やや南西側に黒い部分が見られる.この黒い部分,長らく反射星雲のわずか手前に,光を通さない低温のガス塊があり,そのガス塊が光を遮っているので黒く見えているのだと考えられて来た.
  ところが,赤外線天文衛星「ハーシェル」が,濃いガスや塵を見通すことのできる波長の赤外線でこの部分を観測したのだが,「ハーシェル」の観測でもこの部分はやっぱり黒いままだった.このままでは,本当に何もないのか,それとも「ハーシェル」の観測装置をもってしても向こう側が見通せないほどガスや塵が濃いのかわからなかったが,地上からの別な詳しい観測から,この黒い部分は本当に見たまんま,何もない領域であり,若い星から吹き出した高速のジェットが,塵やガスを貫通してできた空洞であるらしいということがわかった.

  このように,星雲の一部分が暗く見えるという天体は他にもたくさんある.その中に,同じように「実は本当に何もない」というものも他にあるのだろうか.
  NGC1999の写真,例えば子供が見たならば,「あ,穴があいている」と素直に思うのだろうが,多少なりとも天文に心得のある人が見ると,「明るい星雲の手前に黒いガスがある」と思うだろう.言ってみれば「宇宙のだまし絵」に騙されまいと裏をかいたようなものだが,実はこの星雲は見たまんまだった.星雲に「裏の裏をかかれた」といったところか.宇宙のちょっとした「いたずら」みたいで何とも面白い.
  こういうことが一度でも見つかれば,他の天体も疑ってみたくなるもの.これから先,同じような天体が他にも見つかるのだろうか.

今年の観望会 予定…35 実施…22 中止…10 延期…2 屋内(外)で天文教室…1 勝率….629(22勝13敗)
昨日(18日)は実は某所で観望会の予定があったのだが,曇り空であえなく延期.これで3連敗となり,貯金がさらに1つ減って9.

SETI@home 現在の順位 世界…69,724位(/1,095,728人)国内…2,560位(/28,949人)
Einstein@home 現在の順位 世界…9,746位(/257,969人)国内…224位(/3,888人)

この記事を読んで,「見た目の通りの印象と実際がずいぶんと違うことが多い天文の世界で,逆に見たまんまだったというのはなんとも面白い」と思った方,こちらをクリックして共感の投票をお願いします.→にほんブログ村 科学ブログ 天文学・宇宙科学・天体観測へ

|

« 難しい判断 | トップページ | 天気に泣かされる »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

観望会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 星雲の穴:

« 難しい判断 | トップページ | 天気に泣かされる »