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2009年10月 6日 (火)

「惑星X」探査計画始動

  昨年,神戸大学のパトリック・リカフィカ研究員,向井正教授らのグループが存在の可能性を示唆した「惑星X」の探査計画がこの秋から木曽観測所のシュミット望遠鏡(シュミットカメラ?)とマウイ島の「PS1」と呼ばれる望遠鏡で本格的に始動した.

  この「惑星X」は,海王星軌道より外側の領域に多数発見されている太陽系外縁天体(数年前まで惑星とされていた冥王星もその一つ)の現在の軌道分布が,40億年前には天王星や海王星の軌道近くに位置し,その後様々な変化を経て現在は軌道長半径100~175天文単位程度,傾斜角20~40度の軌道を回るほぼ地球サイズ(質量は地球の0.3~0.7倍,直径は地球よりやや小さい程度)の惑星が存在すると仮定するとほぼ説明がつくという計算結果からその存在の可能性が示唆されるというものだ.

  太陽系の外縁部に未知の,しかも大物の天体が発見されるかもしれないと考えるだけでワクワクするが,もっと面白いのは発見された後だ.
  現在の惑星の定義では,その天体が大物であったとしても,「その軌道近くから他の天体を排除した」天体でないと惑星とは呼ばれず,冥王星と同じ準惑星ということになり,同時に「冥王星型天体(Plutoid)」として分類されることになるだろう.
  発見された「惑星X」がその条件をクリアした場合,晴れて惑星と呼ばれることになるのだが・・・

  現在「惑星」と呼ばれる8つの天体はほぼ同じ軌道面内を公転している.それに対し,新たな「惑星X」は20~40度も傾いた軌道を回っている.現在の惑星の定義を満たしているとは言え,他の8惑星とは明らかに性質も素性も異なっているということになり,その状況はセドナやエリスが発見される前の状況と似ている.ここに至り,また「惑星とは何か」という議論が再燃するのではないだろうか.「惑星X」は一つだけなのか.それとも他にも多数存在するうちの一つなのだろうか.

  いずれにせよ,これまでにも既存の定義に当てはまらない「はみだしもの」の天体が発見される度に天文学は大きく進歩してきた.もし「惑星X」が発見されれば,「太陽系の姿」に関する我々の理解も一段と深くなるだろう.その日がやってくることを期待して待っていることにしよう.

SETI@home 現在の順位 世界…74,285位(/1,021,102人)国内…2,690位(/27,375人)
Einstein@home 現在の順位 世界…11,319位(/239,621人)国内…236位(/3,501人)

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