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2009年6月16日 (火)

ベテルギウス

  最近,「ベテルギウスが15年間で15%縮小」というニュースが(一部で)発表され,このブログにも「ベテルギウス」というキーワードでの検索でたどり着く方が多く,ここ数日アクセス数が急増している.
  この話題に関しては,私自身「良く解らないので触れたくない」というのが正直なところなのだが,これだけたくさんの方が興味を持ってこのブログを見て下さっているので,とりあえず私の見解も記しておこうと思う.

  もしこれが特異な現象であり,ベテルギウスに特筆すべき異変が起きている証拠だとすれば大ニュースになるはずなのだが,今のところ,天文に関するニュースサイトでもこのニュースは見かけないし,業界でも全然話題に登らない.
  ということはつまり,専門的な知識を持った方々の多くはこれが「特異な現象」であることに懐疑的な見方をしているということなのだと思う.

  そもそも,ベテルギウスは膨張・縮小を繰り返す脈動変光星である.その周期は5.8年だから15年間縮小を続けたというのは異様ともとれるが,もっと長い周期での変動(太陽でも11年周期(磁場の変化も考慮すれば22年周期)の他,数十年から数百年という長い周期での変動も指摘されている)を観測しただけで,別段「特異な現象」ではないのかもしれないのだ.

  ちなみに,肉眼以外での観測ができるようになってから,近距離で観測された超新星は1987年に大マゼラン星雲で発見されたSN 1987Aのみ(カミオカンデでこの超新星爆発によるニュートリノを捉えることに成功,小柴先生のノーベル賞受賞につながっていくことになった)で,我が銀河系内での超新星はまだ観測されていない.
  SN 1987A は,超新星爆発を起こす直前は太陽質量の20倍程度の青色超巨星であったことがわかっている.SN 1987A は赤色超巨星→青色超巨星という過程をたどって超新星爆発となったらしい.ベテルギウスが超新星爆発を起こす時に同じ過程とたどるのだとすれば(質量が同程度であることからその可能性は高いと思う),ベテルギウスはまだ赤色超巨星なのだから,今回の縮小が「特異な現象」だったとしても,超新星爆発はまだ先ということになる.

  この記事の冒頭に書いたとおり,ベテルギウスが(人間の時間スケールで)近いうちに超新星爆発を起こすのかどうかという点については「全く解らない」とい うのが正直なところだ.多くの専門家も「まだまだ先」という見解だろうし,私もどちらかと言えばその見解に賛成で,「生きているうちにベテルギウスの超新 星爆発を見られる可能性は限りなく0に近い」と思っている.その一方で,「天文学的な時間スケール」であればベテルギウスの超新星爆発は「もうすぐ」なわけで,その「もうすぐ」が私が生きているうちにやってきて欲しいという淡い期待も持っている.

  「たった一枚買った宝くじが1等に当たる」くらいの期待を持っているのが丁度いいのではないだろうか.

SETI@home 現在の順位 世界…76,441位(/980,620人)国内…2,774位(/26,591人)
Einstein@home 現在の順位 世界…12,591位(/231,350人)国内…263位(/3,394人)

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