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2008年12月10日 (水)

天体までの距離

  山形市の板垣さんが11月26日(日本時間)にアンドロメダ大銀河の近く発見した新天体は,その後の観測により,アンドロメダ大銀河より400倍も遠い,我々から10億光年ほどの距離にある別は銀河に出現した超新星であることがわかった.また,板垣さんが11月29日(日本時間)にやはりアンドロメダ大銀河の方向に発見した新天体は実はアンドロメダ大銀河内の新星ではなく,もっと近く,我々の銀河内の矮新星であることがわかった.
  超新星,新星,矮新星,それぞれメカニズムも規模も異なるが,「夜空の中,それまで星が見えていなかった場所に突然新しい星が現れたように見える」という見た目は同じで,見た目にはほとんど区別がつかない.詳しい観測によってメカニズムが判明,それによって本来の明るさが推定され,見かけの明るさとの比較から距離が推定されることになる.
  矮新星より新星の方が明るく,新星より超新星の方が明るい.しかし,近くの矮新星,ちょっと遠くの新星,ずっと遠くの超新星だと同じような明るさに見える.本来全く違うものが距離が違うことでほとんど同じように見えるから面白い.

  私は天体までの距離について強烈にこだわりを持っている.天体までの距離を知ることで夜空を立体,あるいは空間としてとらえることができる.そうすると(言葉で表現しづらいのだが),星を見ている時,「夜空を見上げている」のではなく,「宇宙という空間にいて,周囲を見回している」という感覚にを味わうことができる.また,距離を知ることで,長い時間をかけて宇宙を走ってきた光が地球に届いた瞬間を目撃しているのだということを感じることができ,それがどれだけ貴重なことなのかという感動を味わうことができると思う.
  私が天体までの距離にこだわりを持っているから,私が参加する天体観望会や天文教室では距離の話が多くなる.そんな時,ポカンとしてしまう人がいたり,「光年」という単位に拒絶反応を示す人がいたり,
「距離の話なんか難しくて解らないから,そんな話はしなくていい」
なんていうご批判を受けることもある.でもやっぱり,天体までの距離を知って夜空を眺めるのは天文趣味の醍醐味だと思う.
  「光年」という単位が科学用語であり,馴染みのない単位だから抵抗があるのかもしれないが,慣れてしまえばどうということはない.「円」や「km」には馴染みがあるから直感でわかるけど,「ドル」や「マイル」だと直感でわからないのと同じだ.
  また,「科学」である以上,「厳密」でなければならないと思っている方も多いようだが,実は天体までの距離なんて「だいたい」で構わない.実生活では考えられない遠距離である上,直接測ることができないので,「一般的」とされているものでも誤差が非常に大きいのだ.系外銀河の距離に至っては「誤差50%」なんてざらだ.
  そこで,大雑把にいろんな天体の距離のイメージをもっておくと便利だ.月なら大体40万km,太陽で1億5000万km,見やすい惑星は数億〜十数億km,肉眼で見える恒星は数〜数千光年,銀河系の直径が約10万光年,散開星団星雲なら数百〜数千光年,球状星団は数万光年程度,系外銀河は数十万光年〜無限に遠く♪という具合だ.これはちょうど,自宅から水戸駅まで4km,水戸からなら石岡まで大体30km,土浦や日立が50km,東京まで100km,大阪で400kmくらい(?)という距離の目安を持っておくと,その他の距離の実感が掴みやすいのと同じだ(と思う).

  これからの季節,ちょっとした機会に星空を眺めることも多くなると思う.そこでちょっと距離について考えてみると星を眺める楽しみがぐっと大きくなると思うので「光年」という単位に拒絶反応のある方も是非試してみることをお勧めしたい.

  ・・・ということで,観望会や天文教室での私の話はやっぱり距離の話が多くなると思うのでそんな時は我慢して聞いていてください(眠ってもいいですから)・・・

SETI@home 現在の順位 世界…80,913位(/910,654人)国内…2,928位(/25,141人)
Einstein@home 現在の順位 世界…13,838位(/215,757人)国内…267位(/3,194人)

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