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2007年12月21日 (金)

UFOより

  内閣が「UFOはいない」とコメントしたことで国会はかなり揺れてしまったようだけど...
  なんだかなぁ...
  「UFOは絶対いる」と信じている人もいるだろうけど,私自身は信じていないし,少なくとも客観的にみてUFOが存在するという「だれもが信じるに足る証拠」というものはまだただの一つもない.
  それに対して,地球に衝突する天体が存在する確率が0ではないことは既に明らかだ.それまでは「天体同士が衝突するなんてことはありえない」と考えられていたのに,1994年7月16日〜22日に木星の引力による潮汐力で砕かれたシューメーカー・レビー第9彗星の分裂核が相次いで木星に衝突したのだ.その衝突のエネルギーはTNT火薬にして100万メガトン,広島型原爆の1000万倍から1億倍にのぼり,地球上のすべての核兵器を集めても及ばないという.木星には衝突したのに地球には衝突することはありえないなんていうことは考えられないから,それ以来世界中で地球に接近する小天体の捜索が始まった.2004年5月頃,日本でも肉眼で見え,我々天文家を楽しませてくれた↓ニート彗星(C/2001 Q4 NEAT
ニート彗星 2004年5月撮影
も,同じ頃日本では地平線近くでしか見えず,今一つ楽しめなかったリニア彗星(C/2002 T7 LINEAR)もそれぞれNASAのジェット推進研究所がパロマー天文台で行っている地球近傍小惑星サーベイ(Near-Earth Asteroid Tracking : NEAT)とリンカーン研究所の地球近傍小惑星探査(Lincoln Near-Earth Asteroid Research : LINEAR)が発見した彗星だ.これらの研究・探査チームはこれまでに数多くの彗星や小惑星などを発見している.日本でも美星スペースガードセンターを中心に同様の探査が行われており(愛称?はバッターズ(Bisei Asteroid Tracking Telescope for Rapid Survey : BATTeRS)),つい先日(18日)に直径約500m,2008年1月7日頃地球に1500万kmまで接近する地球近傍小惑星2007 YZを発見している.
  ちょっと調べてみたところ(必ずしも正しい情報ではない),小惑星2002 NT7が2019年2月1日頃地球に最接近し,地球に衝突する可能性は数百万分の1,直径約300mの小惑星「アポフィス(2004 MN4)」が2036年4月13日に最接近し,衝突する可能性は37万分の1から4万5000分の1だそうだ.どちらにしても,現在のところは大騒ぎするほど可能性は高くない(というより,あくまで「現在のところは」衝突する心配はないと言っても良いくらい?)が,同時に可能性が0でないということも明らかだ.これほど小さな天体(それでももし地球に衝突したら大変なことになる.ちなみに,アリゾナ州にある直径1.5km,深さ170mの衝突クレーター「バリンジャー隕石孔」を作った隕石は直径50mくらいだと言われている)だと,ちょっとした要因で軌道が変化するから,これから先,衝突の可能性が高くなるかもしれないし,低くなるかもしれない.2030年頃になって,「アポフィスは地球に確実に衝突する」ということになっても何ら不思議はないのだ.
  アメリカではNASAが2005年に「ディープインパクトミッション」(テンペル第1彗星(9P/Tempel)に衝突体をぶつけるという実験)を行っている.これは,彗星核に衝突体をぶつけることにより,飛び散った物質を観測することで,彗星の正体に迫ろうとする科学的な意味があったわけだが,同時に,地球に接近してくる小天体を「迎撃」できるかというテストの意味もあったそうだ.
  日本ではどうか.もし「確実に地球に衝突する」天体が見つかった時の対策は何一つ考えられていない.内閣が存在するかどうかもわからないUFOについて議論している暇があったら,可能性が0でないことが確実な地球衝突天体に対する対策を講じて欲しいと思う.三十数年後には(現段階,最大で)4万5000分の1の確率(これでも年末ジャンボ宝くじで1等を当てるより高い確率なのでは?)で小天体が地球に衝突するのだから.

  本文とは何の脈絡もないけど,↓今朝薄明開始直後の夜空.
2007年12月21日 自宅にて
日本の夜空は今のところ平和らしい...

SETI@home 現在の順位 世界…140,694位(/734,163人)国内…5,233位(/21,821人)
Einstein@home 現在の順位 世界…44,960位(/184,226人) 国内…852位(/2,782人)
↑これだけたくさんの人が毎日宇宙人を探していてまだ見つかっていないというのにねぇ...

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